旅先でエシカルを実践する:服選びから荷造り、現地での過ごし方まで
はじめに:旅する中でエシカルな視点を持つこと
旅行は私たちの日常に彩りを与え、新たな発見や経験をもたらしてくれます。しかし、移動や宿泊、観光、そしてショッピングといった旅のあらゆる側面は、環境や地域社会に少なからず影響を与えています。エシカルファッションに関心を持つ私たちにとって、旅先でもその意識を持ち続けることは、より責任ある旅を楽しむための一歩となります。
この記事では、旅の準備段階である服選びや荷造りから、実際に現地でどのように過ごすかまで、旅先でエシカルな視点を実践するためのヒントをご紹介します。特別なことではなく、少しの意識と工夫で、旅をもっと豊かで心地よいものにできる可能性があります。
旅の準備:エシカルな服選びと荷造り
旅先でエシカルを実践する最初の一歩は、持ち物を準備する段階にあります。特に、どのような服を持っていくか、そしてどのように荷造りをするかは、旅の快適さだけでなく、環境への負荷を減らす上でも重要になります。
1. 旅の目的に合わせた賢い服選び
旅の目的地、期間、目的(観光、リゾート、ビジネスなど)を明確にし、本当に必要な服を選びましょう。
- 着回し力のあるアイテムを選ぶ: 異なる組み合わせで多様なスタイルを作れるアイテムを中心に選ぶことで、持っていく服の総量を減らすことができます。例えば、シンプルなTシャツ、汎用性の高いパンツやスカート、羽織ものとして使えるカーディガンやジャケットなどは、様々なシーンに対応しやすいアイテムです。
- 耐久性と手入れのしやすさ: 旅先では洗濯の機会が限られる場合や、簡単に手入れを済ませたい場面があるかもしれません。シワになりにくく、汚れが落ちやすい、あるいは手洗い後も早く乾く素材を選ぶと便利です。長く着続けられる丈夫な素材であることも、エシカルな視点からは重要です。
- 現地の気候と文化への配慮: 旅先の気候に適した服を選ぶことは快適な旅の基本ですが、加えて現地の文化や宗教的な慣習に配慮した服装を心がけることも大切です。肌の露出を控える必要がある場所を訪れる予定があるかなど、事前に確認しておきましょう。
- エシカルブランドのアイテムを取り入れる: 普段から愛用しているエシカルブランドの服を旅に持っていくことは、旅先でもエシカルな選択を続けることにつながります。もし旅に合わせて新しい服が必要になった場合でも、エシカルな視点を持って選ぶことで、その旅自体がエシカル消費の一環となります。
2. 荷造りの工夫
持っていく服やアイテムが決まったら、次は荷造りです。
- 「本当に必要か?」と問いかける: パッキングする前に、一つ一つのアイテムに対して「これは本当に必要だろうか?」と問いかけてみましょう。予備の服や靴、アメニティなどが過剰になっていないか見直すことで、荷物を減らすことができます。
- パッキングの効率化: 服を丸めて収納する、圧縮袋を使うなど、かさばらない工夫をすることで、スーツケースやバッグの容量を有効活用できます。荷物がコンパクトになれば、移動の際の負担も減ります。
- エシカルなトラベルグッズの活用: 旅行用のシャンプーや石鹸、歯磨き粉などは、使い捨てのミニボトルではなく、詰め替え可能な容器に入れたり、固形のものを選んだりすることでプラスチックごみを減らせます。マイボトルやマイバッグを携帯することも、旅先での不要な廃棄物を削減するのに役立ちます。
旅先での実践:エシカルな過ごし方
旅先に到着してからも、エシカルな視点を意識して過ごすことができます。これは特別な行動というよりも、普段から私たちが大切にしている価値観を旅の場でも実践するということです。
1. 服のお手入れとメンテナンス
旅先でも服を大切に扱いましょう。
- 簡単な手洗い: 軽い汚れや汗が付いた服は、宿泊先で手洗いすることで、常に清潔な状態を保てます。シワを伸ばして干すなどの簡単なケアでも、服は長持ちします。
- 現地での洗濯施設利用: 長期滞在の場合は、現地のコインランドリーなどを利用するのも良いでしょう。洗濯する際は、環境負荷の少ない洗剤を選ぶことも視野に入れられます。
2. 現地での消費
旅先でのショッピングや食事も、エシカルな選択の機会となり得ます。
- 地元製品やクラフトを選ぶ: お土産を選ぶ際は、大量生産品ではなく、現地の職人が作った手工芸品や、地元の原料を使った製品を選ぶことで、地域経済の活性化や文化の保全に貢献できます。その製品がどのように作られたか、作り手のストーリーを知ることで、より価値ある買い物になるかもしれません。
- エシカルな視点を持つ店舗の利用: フェアトレード製品を扱うお店や、リサイクル・アップサイクル製品を販売する店舗があれば、積極的に訪れてみましょう。
- 使い捨てを避ける: レストランやカフェでテイクアウトをする際に、マイボトルやマイカップ、マイカトラリーを利用することで、プラスチックごみを減らせます。
3. レンタルやシェアリング
旅のスタイルに合わせて、レンタルやシェアリングサービスを利用することもエシカルな選択肢の一つです。
- 旅先での服装レンタル: 特別な場所を訪れる際など、その一度きりのために服を購入するのではなく、旅先でレンタルサービスを利用するのも有効です。
- シェアサイクルなどの利用: 短距離の移動であれば、公共交通機関に加え、シェアサイクルなどを利用することで、環境負荷を減らしながら旅先の景色を楽しむことができます。
完璧を目指さず、できることから
旅先でのエシカルな実践は、決してストイックなものである必要はありません。すべての場面で完璧を目指すのではなく、自分が心地よく続けられる範囲で、できることから少しずつ取り組むことが大切です。
例えば、次の旅行では「着回ししやすい服をいつもより意識して選んでみよう」「マイボトルを必ず持っていこう」といった小さな目標から始めてみるのはいかがでしょうか。そうした一つ一つの選択が、持続可能な旅、そして持続可能な社会への貢献につながっていきます。
まとめ
旅は日常から離れる特別な時間ですが、その中でもエシカルな視点を持つことで、より意識的で責任ある旅を楽しむことができます。服選びから荷造り、そして現地での過ごし方まで、ご紹介したヒントが、あなたの次の旅を計画する上で役立つことを願っています。
エシカルファッションの情報サイト「エシカルブランド図鑑」では、これからも読者の皆さまがエシカルな選択を日常生活に取り入れやすくなるような情報をお届けしてまいります。