アウトドアでもエシカルに:機能性素材と環境配慮を両立するウェア選び
アウトドアアクティビティとエシカルな視点
自然の中で過ごす時間は、私たちの心身をリフレッシュさせてくれます。登山、ハイキング、キャンプ、トレイルランニングなど、アウトドアアクティビティを楽しむ際には、天候や環境に対応するための機能的なウェアが不可欠です。しかし、これらのウェアを選ぶ際に、少し立ち止まって「エシカル」な視点を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
アウトドアウェアは、防水性、透湿性、耐久性といった特定の機能を持たせるために、高度な技術や素材が用いられることが多くあります。一方で、これらの機能性素材の製造工程や廃棄が、環境に負荷をかける可能性も指摘されています。
自然を愛し、自然の中で活動するからこそ、その自然環境を守るための選択をすることは、とても自然な流れと言えるでしょう。エシカルな視点を取り入れたアウトドアウェア選びは、機能性を損なうことなく、地球への配慮を両立させるための賢明な方法の一つです。
機能性素材と環境配慮の課題
アウトドアウェアに多用される合成繊維(ポリエステル、ナイロンなど)や、撥水・防水加工に使用されるフッ素化合物(PFCs)などは、その機能性の高さから欠かせない素材とされています。しかし、これらの素材や化学物質は、製造時に大量のエネルギーや水を使用したり、分解されにくく環境中に残留したりといった課題を抱えています。特に、フッ素化合物は人体や環境への影響が懸念されており、多くのブランドで代替素材への転換が進められています。
また、ウェアの生産過程における労働環境、製品の輸送、そして最終的な廃棄に至るまで、サプライチェーン全体において様々な環境的・社会的な側面が関連しています。
エシカルなアウトドアウェア選びのポイント
機能性と環境配慮を両立させるためには、以下のポイントを意識してウェアを選んでみることが推奨されます。
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素材に注目する
- リサイクル素材: ペットボトルや漁網などを再利用したリサイクルポリエステルやリサイクルナイロンは、バージン素材の使用を減らし、廃棄物を有効活用する選択肢です。機能性は維持しつつ、環境負荷を低減できます。
- 天然素材: メリノウール、オーガニックコットン、ヘンプなども、吸湿性、速乾性、抗菌性といった機能を持つ場合があります。適切に管理されたサプライチェーンから生まれる天然素材は、生分解性にも優れています。
- 代替フッ素加工: PFCフリー(フッ素化合物不使用)の撥水・防水加工が施された製品を選ぶことで、環境負荷の低減に貢献できます。
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製造過程を確認する
- 認証ラベル: bluesign®は、繊維製品の生産プロセス全体において、環境・労働・消費者への安全を評価する認証です。OEKO-TEX®は、有害物質が含まれていないことを証明します。GOTS(Global Organic Textile Standard)はオーガニック繊維の基準です。これらの認証は、ブランドが環境や労働に配慮しているかを見極める一つの手がかりとなります。
- 透明性: ブランドがサプライチェーンを公開し、どこで、誰が、どのように製品を作っているかを明確にしているかを確認します。
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耐久性と修理サービス
- 長く使えるデザイン: 高品質で飽きのこないデザインの製品は、長く愛用することにつながります。
- 修理・メンテナンス: 穴が開いたり、ファスナーが壊れたりしても、修理して使い続けられる製品を選ぶことは、廃棄を減らす重要なポイントです。ブランドが修理サービスを提供しているかどうかも確認してみましょう。
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ブランドの取り組みを知る
- 環境保護活動への寄付や参加、労働者の権利保護、地域社会への貢献など、ブランド独自の倫理的な取り組みに注目します。
エシカルな選択が自然を守る力に
エシカルな視点を取り入れたアウトドアウェア選びは、少しの手間や情報収集が必要になるかもしれません。しかし、その選択は、私たちが楽しむ自然環境を未来に残すための大切な一歩につながります。
完璧を目指すのではなく、まずは一つのアイテムから素材を意識してみる、気になったブランドのウェブサイトで環境への取り組みを調べてみるなど、できることから始めてみることが推奨されます。エシカルな選択肢は年々増えており、機能性とデザイン、そして倫理的な価値観を兼ね備えたウェアを見つけることは、以前にも増して容易になっています。
自然の中で心地よく活動するために選ぶウェアが、同時に地球への優しさも兼ね備えていること。それは、アウトドアアクティビティをより豊かなものにしてくれるでしょう。