エシカルブランド図鑑

定番アイテム「デニム」をエシカルに選ぶためのガイド

Tags: デニム, エシカルファッション, サステナブル, 製造工程, 素材

ファッションの定番、デニムが抱える課題

ジーンズをはじめとするデニム製品は、私たちのワードローブに欠かせない定番アイテムです。しかし、その製造工程は環境や社会に大きな負荷をかけている側面があります。

デニムの主原料であるコットン栽培では、大量の水や農薬が使用されることがあります。さらに、独特の風合いを出すための染色や加工(洗い加工、ダメージ加工など)には、多くの化学薬品や水が使われ、廃水処理が適切に行われない場合には水質汚染の原因となります。また、砂を吹き付けて摩擦によるダメージ感を出すサンドブラスト加工のような危険な労働を伴う工程も、過去には問題視されていました。

こうした背景から、ファッションを持続可能なものへと変えていく上で、デニム製造における環境負荷の低減や労働環境の改善は重要な課題となっています。エシカルファッションの視点からデニムを選ぶことは、これらの課題解決に向けた一歩となります。

エシカルなデニムを見分けるポイント

では、どのような点に注目すれば、よりエシカルなデニムを選ぶことができるのでしょうか。いくつかのポイントをご紹介します。

1. 素材

環境負荷の少ない素材を選択しているかを確認します。 * オーガニックコットン: 化学肥料や農薬を使わずに栽培されたコットンです。土壌や水の汚染を防ぎ、農場で働く人々の健康を守ることにもつながります。 * リサイクルコットン: 裁断くずや古着から再生されたコットンです。廃棄物を減らし、新たな資源の使用を抑えることができます。 * 再生繊維: テンセル™リヨセルなどの木材パルプを原料とする再生繊維は、一般的なコットンに比べて水や化学薬品の使用量を抑えられる場合があります。

2. 染色・加工方法

環境負荷を低減する技術を採用しているかどうかも重要なポイントです。 * 環境配慮型染色: 従来の染色方法に比べて、水や化学薬品の使用量を大幅に削減する技術(例: 無水染色、植物由来の染料など)を取り入れているブランドがあります。 * レーザー加工: ダメージ加工などを水や化学薬品を使わずレーザーで行う技術は、環境負荷低減に貢献します。 * オゾン加工: 化学薬品を使わずに酸化作用で色落ちや柔らかさを出す加工方法です。

3. 生産背景と透明性

製品がどこで、誰によって、どのような環境で作られているかを知ることは、エシカルな選択に不可欠です。 * フェアトレード認証: 原料生産者や縫製工場の労働者に公正な対価が支払われているか、安全な労働環境が確保されているかの基準となります。 * 労働環境への配慮: 児童労働や強制労働がないか、適切な賃金や労働時間が守られているかなどを確認します。ブランドがサプライチェーンの透明性を高め、情報を公開しているかどうかも信頼の指標となります。 * 環境マネジメント: 工場での排水処理やエネルギー使用において、環境負荷を最小限に抑えるための取り組みを行っているかどうかも評価の対象となります。

4. 耐久性とデザイン

長く愛用できる品質とタイムレスなデザインであることも、広義でのエシカルな視点です。トレンドに左右されすぎず、自分の体型やスタイルに合った、修理しながらでも着続けたいと思えるデニムを選ぶことが大切です。

選んだデニムを長く愛用するために

エシカルな視点で選んだデニムを、さらに持続可能な形で活用するためには、購入後のケアも重要です。

エシカルなデニム選びから広がる世界

エシカルな視点でデニムを選ぶことは、単に一本のジーンズを選ぶ以上の意味を持ちます。それは、その製品が作られる過程に関わる人々の権利や健康、そして地球環境への配慮を選択することです。全ての基準を一度に満たす完璧な製品を見つけることは難しいかもしれませんが、素材や製造方法、ブランドの姿勢など、一つでも多くのエシカルな要素を持つ製品を選ぶ意識を持つことが大切です。

今日から、定番アイテムであるデニムを選ぶ際に、その背景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。あなたの選択が、ファッション業界全体の変化を後押しする力となります。